ラウターブルンネン完全ガイド|72の滝の谷と見どころ・行き方・ハイキングを旅行会社が解説【2026年版】


ラウターブルンネンは、スイス・ユングフラウ地方の谷底にある小さな村です。氷河が削ったU字谷の底に位置し、両側の岩壁からは大小72の滝が流れ落ちます。この記事では、シンボルであるシュタウブバッハの滝から、行き方・崖上のミューレンとヴェンゲン・シルトホルン・ハイキング・宿泊まで、ヨーロッパ旅行を手がける旅行会社の視点で、実用情報を中心にまとめました。
- ラウターブルンネンがどんな村か(72の滝・U字谷・世界自然遺産の玄関)
- インターラーケンからの行き方と、各都市からの鉄道の所要時間
- 二大瀑布シュタウブバッハの滝・トリュンメルバッハの滝の見どころと料金
- 車が入れない崖上の村ミューレン・ヴェンゲンと、シルトホルンの展望
- 初心者向けのハイキングコースと、日帰り/1泊2日のモデルコース
- 谷底泊と崖上泊の違い・ベストシーズン・現地の食事
ラウターブルンネンとは?72の滝が流れる谷底の村
ラウターブルンネン(ラウターブルネンとも表記されます)は、スイス中部・ベルナーオーバーラント地方にあるユングフラウ地方の村です。標高は約795mで、氷河が削ってできた深いU字谷の底に位置します。谷の両側には高さ数百メートルの岩壁がそそり立ち、その壁のあちこちから水が流れ落ちています。谷全体では大小72の滝が数えられるとされ、この風景がラウターブルンネン観光の象徴になっています。スイスの数ある村の中でも、これほど滝と岩壁が身近な観光地は多くありません。

村名の語源と「多くの泉」
「Lauterbrunnen(ラウターブルンネン)」という村名は、文献では1240年に「in claro fonte(澄んだ泉)」と記され、「澄んだ泉」に由来するとされています。谷のいたるところで水が湧き、流れ落ちる土地柄が、そのまま村の名前になったという説です。日本語では「ラウターブルネン」と表記されることもありますが、地図や鉄道の案内では「ラウターブルンネン」が使われています。
ユングフラウ三山と世界自然遺産の玄関
ラウターブルンネンは、アイガー・メンヒ・ユングフラウのユングフラウ三山へ向かう登山鉄道の出発拠点でもあります。この一帯は「スイスアルプス ユングフラウ-アレッチュ」として世界自然遺産に登録されており、ラウターブルンネンはその玄関口の一つです。谷の村でありながら、少し足をのばせばアルプスの高峰と氷河の風景に手が届く。この立地が、ラウターブルンネンが多くの旅行者に選ばれる理由です。

ラウターブルンネンへの行き方・アクセス
ラウターブルンネンへのアクセスの拠点は、インターラーケンの東側にある「インターラーケン・オスト駅」です。ここからベルナーオーバーラント鉄道(BOB)に乗り、約20分でラウターブルンネン駅に着きます。この区間は複数の旅行案内でも所要時間が一致しており、スイス旅行の中でも移動が分かりやすいルートの一つです。

各都市からラウターブルンネンまでの鉄道所要時間
主要都市からラウターブルンネンまで、鉄道でおおよそどのくらいかかるかの目安です。乗り換えを含んだ所要時間で、便により前後します。
| 出発地 | おおよその所要時間 | 備考 |
|---|---|---|
| ベルン | 約1時間20分 | 首都から。乗り換えが少なく行きやすい |
| チューリッヒ | 約2時間30分 | 最大の玄関口から。乗り換えあり |
| バーゼル | 約2時間半〜3時間 | スイス北部から |
| ジュネーブ | 約3時間15分 | スイス西部・レマン湖から |
登山鉄道・山岳鉄道での行き方
ラウターブルンネン駅からは、目的地に応じて2方向の登山鉄道・ロープウェイに分かれます。ヴェンゲン方面へはヴェンゲルンアルプ鉄道(WAB)、ミューレン方面へはロープウェイでグリュッチアルプへ上がってから山岳鉄道に乗り継ぐルートです。ラウターブルンネンは、こうした鉄道網の結節点として機能しています。スイス各地を鉄道で回る旅では、鉄道パスが使える区間もあります(区間や割引率は購入時に確認してください)。
シュタウブバッハの滝|村のシンボル

シュタウブバッハの滝は、ラウターブルンネン村のすぐそばで岩壁から一直線に落ちる滝で、村のシンボルになっています。落差は約297mで、スイスでも有数の自由落下(フリーフォール)の滝の一つとされます。水が下まで届く途中で細かい霧のように舞い散るのが特徴で、「Staub(シュタウブ)」はドイツ語で「霧・埃」を意味します。ドイツの文豪ゲーテがこの滝を訪れ、詩に詠んだことでも知られています。
夏だけの「滝の裏」トンネル遊歩道
シュタウブバッハの滝は、麓から見上げるだけでなく、滝の裏側に回り込む遊歩道が整備されています。岩をくり抜いたトンネル状の道を登っていくと、水が落ちるすぐ内側から谷を見下ろす角度に出られます。見学そのものは無料ですが、この裏側の遊歩道は冬季は閉鎖されるため、利用できるのは主に春から秋にかけてです。村の駅から滝までは徒歩でおよそ10〜15分ほどの距離です。
滝の裏側の遊歩道は、その日の風向きによって水しぶきのかかり方がかなり変わります。風がこちらに向いていると、遊歩道でもしっかり濡れることがあります。上着やレインウェアを一枚持っておくと、写真を撮る余裕が生まれます。足元も濡れて滑りやすくなるので、サンダルよりは歩き慣れた靴が安心です。
トリュンメルバッハの滝|岩壁の内部を流れる氷河瀑布

トリュンメルバッハの滝は、シュタウブバッハの滝とはまったく違う姿の滝です。アイガー・メンヒ・ユングフラウの氷河がとけた水が、山の岩壁の内部を削りながら流れ落ちる「氷河瀑布」で、渓谷の内側におよそ10段の滝が連なっています。山の中をトンネル内のリフト(昇降機)と、内部に整備された階段・通路で登り、岩壁のすぐ内側から間近に見学できるのが最大の特徴です。
入場料・営業期間の目安
トリュンメルバッハの滝は入場制の施設です。大人の入場料はおおむねCHF18前後(子供6〜15歳は約CHF8・2026年時点の目安・要公式再確認)で、山の内部のエレベーターもこの料金に含まれます。営業はおおよそ4月から11月までで、冬季は閉鎖されます。ラウターブルンネン駅からはバスで向かうのが一般的で、後述する谷底の遊歩道を歩いて訪れることもできます。料金や営業時間は年によって改定されるため、訪問前に公式サイトで最新の情報を確認してください。
崖の上のカーフリーの村 ミューレン&ヴェンゲン
ラウターブルンネンの旅を語るうえで欠かせないのが、谷の両側の崖の上に乗る二つの村、ミューレンとヴェンゲンです。この二つの村は、どちらも一般車が入れないカーフリー(車両進入禁止)の村です。谷底のラウターブルンネンに車や鉄道が通り、その両側の崖の上に静かな村が乗っている。ラウターブルンネン一帯は、この立体的な地形が一つの見どころになっています。旅行者はロープウェイと登山鉄道で崖の上に上がり、車のない静かな風景の中を歩きます。
- 谷の西側・より高い位置にある村
- シルトホルン展望台への玄関口
- ラウターブルンネンからロープウェイでグリュッチアルプへ上がり、山岳鉄道で村へ(またはシュテッヘルベルク経由)
- 正面にユングフラウ三山を望む
- 谷の東側・ミューレンより少し低い村
- クライネシャイデック方面への通り道
- ラウターブルンネンからヴェンゲルンアルプ鉄道(WAB)で約12分
- ゲレンデと山岳リゾートの雰囲気

ミューレン|シルトホルンの玄関の村
ミューレンは、谷の西側の崖の上、標高約1,650mにある村です。二つの村の中では高い位置にあり、正面にアイガー・メンヒ・ユングフラウの三山を望みます。次の章で紹介するシルトホルン展望台へは、このミューレンを経由してロープウェイで上がります。村までのアクセスは、ラウターブルンネンからロープウェイでグリュッチアルプへ上がり山岳鉄道で入るルートと、谷の奥のシュテッヘルベルクからロープウェイで直接上がるルートがあります。
ヴェンゲン|クライネシャイデックへの通り道
ヴェンゲンは、谷の東側の崖の上、標高約1,270mにある村です。ラウターブルンネンからヴェンゲルンアルプ鉄道(WAB)で約12分と、二つの村の中ではアクセスが手軽です。ここはユングフラウ三山の展望地クライネシャイデックへ向かう通り道にあたり、山岳リゾートとしても知られています。ラウターブルンネンからヴェンゲンへは、鉄道で上がって歩いて下りてくる、後述のプチハイキングのルートとしても人気です。
ミューレンやヴェンゲンは車が入れないため、村の中の移動は基本的に徒歩です。崖の上の村に宿を取る場合は、大きなスーツケースの扱いを事前に考えておくと動きやすくなります。日中だけ崖の上を楽しんで谷底のラウターブルンネンに泊まる、という組み方もあり、荷物の多い旅ではこちらのほうが身軽です。どちらが向くかは、旅のスタイル次第です。
シルトホルン|007の舞台とアルプス大展望

シルトホルンは、ラウターブルンネンの西側、標高約2,970mの山頂にある展望台です。山頂には回転レストラン「ピッツ・グロリア(Piz Gloria)」があり、席に座ったまま360度のアルプスの峰々を見渡せます。ここは映画『女王陛下の007』(原題 On Her Majesty’s Secret Service・1969年)のロケ地として使われた場所でもあり、映画にちなんだ展示「ボンドワールド」や、断崖に張り出した通路を歩く「スリルウォーク」も楽しめます。ミューレン経由のロープウェイ(シルトホルンバーン)で山頂へ上がります。
シルトホルンへの行き方と料金の目安
シルトホルンへは、ラウターブルンネンからミューレンを経由してロープウェイで山頂へ上がるのが基本ルートです。往復の料金は出発地や区間によって幅があり、おおむねCHF91〜115程度(ミューレン発が約CHF91、ラウターブルンネン・シュテッヘルベルク発がCHF115/2026年時点の目安・要公式再確認)が一つの目安です。展望台までの道のりでは、崖の上のミューレンやアルプスの斜面の風景も一緒に楽しめます。料金・割引は年によって改定されるため、最新の情報は公式サイトでご確認ください。
ラウターブルンネンのハイキング
ラウターブルンネンは、本格的な登山だけでなく、初心者でも歩きやすいハイキングコースがそろっているのも魅力です。谷底には平坦な遊歩道があり、崖の上へは鉄道で上がって歩いて下りてくる短いコースがあります。ここでは、体力や目的に合わせて選べる代表的なコースを紹介します。

谷底の平坦な遊歩道(初心者向け)
ヴェンゲンへのプチハイキング
もう少し高低差のある景色を歩きたい方には、ヴェンゲンへのプチハイキングがおすすめです。ラウターブルンネンからヴェンゲルンアルプ鉄道で崖の上のヴェンゲンまで上がり、そこから谷を見下ろしながら歩いて下りてくるルートです。登りは鉄道に任せ、下りだけを歩くので、体力に自信がなくても楽しめます。谷底とは違う、崖の上からの俯瞰の風景が広がります。
ミューレンからギンメルヴァルトへ
崖の上の村どうしを結ぶ道もあります。ミューレンから、さらに小さな村ギンメルヴァルトへ下るコースは、正面にユングフラウ三山を望みながら歩ける区間です。距離も短めで、崖の上の村の暮らしの雰囲気を感じられる散策路です。いずれのコースも、季節や天候で状況が変わるため、当日の運行情報と天気を確認してから歩き出してください。
ユングフラウ地方の拠点として
ラウターブルンネンの大きな価値は、それ自体が観光の目的地であると同時に、ユングフラウ地方を巡る旅の拠点になることです。ここを起点に、崖の上の村・展望台・そしてヨーロッパ最高地の鉄道駅まで、いくつもの観光スポットが鉄道でつながっています。谷底の村に泊まりながら、日替わりで違う風景を見に行く。そんな旅ができるのが、この村を拠点にする魅力です。
ラウターブルンネンからユングフラウヨッホへ
ユングフラウヨッホは、標高3,454mにあるヨーロッパ最高地の鉄道駅で、「トップ・オブ・ヨーロッパ」とも呼ばれます。ラウターブルンネンからは、ヴェンゲンを経由してクライネシャイデックまで上がり、そこからユングフラウ鉄道に乗り換えて向かいます。ラウターブルンネンに宿を取れば、この氷河の世界へも、日帰りで足をのばせます。鉄道でユングフラウヨッホへ登る詳しい行き方や料金は、下の関連記事にまとめています。
グリンデルワルト・インターラーケン・ブリエンツ湖
ラウターブルンネンの周辺には、ほかにも見どころが点在しています。同じユングフラウ地方の村グリンデルワルト、玄関口となるインターラーケン、そしてその近郊に広がる青いブリエンツ湖。これらを組み合わせると、山と谷と湖をひとつづきで楽しむスイスの周遊になります。ブリエンツ湖の遊覧船やモデルコースは、下の関連記事で紹介しています。


宿泊・ホテル選び(谷底泊 vs 崖上泊)

ラウターブルンネン周辺で泊まる場所は、大きく分けて「谷底のラウターブルンネン村に泊まる」か「崖の上のミューレン・ヴェンゲンに泊まる」かの二択になります。どちらのホテルにも良さがあり、旅のスタイルによって向き不向きが変わります。この一帯のホテルは3★クラスから4★クラスまで幅があり、同じラウターブルンネンでも、村の中心のホテルか、少し離れた静かなエリアのホテルかで、窓から見える風景も雰囲気も変わります。谷底のホテルなら岩壁と滝の風景が、崖の上のホテルなら見下ろす谷の風景が、それぞれ楽しめます。
- 駅が近く、各方面への移動の起点になる
- 大きな荷物でも動きやすい
- 窓や村からシュタウブバッハの滝が見える宿もある
- スーパーや店があり、滞在の利便性が高い
- 車が入らない静かな環境で過ごせる
- 正面にユングフラウ三山を望む宿がある
- 朝夕の光の変化をゆっくり眺められる
- 荷物は徒歩移動が前提になる点に注意
どちらを選ぶかの考え方
初めてのスイスで、鉄道であちこち観光して回りたい方や、荷物が多い方には、駅に近い谷底のホテルが動きやすくおすすめです。一方、山の中の静けさや朝夕の風景をゆっくり味わいたい方、非日常の滞在そのものを目的にする方には、崖の上の村のホテルが向いています。日中は崖の上で過ごし、夜は谷底のホテルに泊まる、という組み合わせも現実的です。Epic Traverseでは、旅の目的とご予算に合わせて、ホテルのグレードとエリアをご一緒に選びます。

ベストシーズン・気候とモデルコース
ラウターブルンネンは、季節によって観光で見られる風景が大きく変わります。訪れる目的が滝やハイキングなのか、冬の雪景色なのかで、おすすめの時期が変わります。村の標高は約795mで、夏の日中は20℃前後まで上がりますが、朝晩や崖の上の高地はぐっと冷えます。どの季節の風景を見たいかで計画は変わりますが、季節を問わず、一枚羽織れるものを持っていくと安心です。

日帰りモデルコース
1泊2日モデルコース
食事・グルメ|アルプスの山の料理
ラウターブルンネンや周辺の村では、アルプスの山の料理を味わえます。派手な美食の街ではありませんが、観光のあいまや山歩きのあとに温かい郷土料理を食べる時間は、この土地ならではの楽しみです。定番はチーズを使った料理で、村のレストランや山小屋風の食堂で提供されています。窓の外に岩壁と滝の風景を眺めながらの食事は、ラウターブルネンならではのひとときです。


ラウターブルンネンの谷底、駅や滝の近くのカフェやレストランは、観光地らしい価格帯です。少し村の奥に入ると、落ち着いた雰囲気の店に出会えることもあります。スイスは全体に外食が高めなので、スーパーでパンやチーズ、果物を買って、滝を眺めながら食べるのも、この土地に合った過ごし方です。食の専門家の目線でも、素材そのものを楽しむこの土地の食べ方は理にかなっています。
まとめ|ラウターブルンネン旅行のポイント
ラウターブルンネンは、氷河が削ったU字谷の底に広がる、72の滝の村です。シンボルのシュタウブバッハの滝、山の内部を流れるトリュンメルバッハの滝、崖の上のカーフリーの村ミューレン・ヴェンゲン、そしてシルトホルンやユングフラウヨッホへの拠点性。谷底と崖上、二つの高さから風景を楽しめるのが、この村ならではの魅力です。
- 拠点はインターラーケン・オスト駅(BOBで約20分)を押さえる
- 谷底泊か崖上泊か、荷物の量と過ごし方から決める
- 訪れる季節に滝の裏の遊歩道・トリュンメルバッハが開いているか確認する
- 入場料・ロープウェイ料金(CHF建て)は公式サイトで最新を確認する
- 朝晩・高地は冷えるので、一枚羽織れるものと歩き慣れた靴を用意する
- 鉄道パスが使える区間かどうかを購入前に確認する
ラウターブルンネンをどう旅程に組み込むか、谷底と崖上のどちらに泊まるか、周辺のユングフラウ地方とどうつなぐか。迷いどころは多いですが、そこは旅行会社の腕の見せどころです。希望をうかがえば、移動・宿・体験を一つの無理のない行程にまとめてご提案します。「想像の、一歩先へ」——あなたのスイスの旅づくりを、お手伝いします。
