イタリアの治安は実際どう?危険エリア・スリ対策・連絡先まで旅行会社が解説【2026年最新】

昼間のローマの広場を穏やかに行き交う観光客と日常の街並み
昼のローマ — 普通に楽しめる街の日常

最終更新: 2026年6月19日

Epic Traverse 監修
Epic Traverse 編集部・現地調査メモ
J.S.A.ワインエキスパート・J.S.A. SAKE DIPLOMA・サウナ・スパ健康アドバイザー資格保有。ヨーロッパ旅行の設計・販売を専門とする旅行会社として、イタリア周遊・ハネムーンの旅程づくりを重ねてきました。この記事は、外務省や在イタリア日本大使館の公的情報を土台に、手配・同行の現場で実際にお客様の安全をどう守っているかを添えてお届けします。

「イタリアの治安は実際どうなの?」——周遊やハネムーンを計画するとき、多くの方が最初に気にされる点です。結論から言うと、イタリアは特別に危険な国ではなく、対策を知っていれば初めての方でも普通に楽しめます。ただし観光客を狙ったスリや置き引きなどの軽犯罪は、残念ながら日本より多いのも事実です。この記事は、公的データを土台に、危険とされるエリアや犯罪の手口、具体的な防犯対策、そして「貴重品袋は本当に必要か」までを、旅行会社の視点で中立的に整理したガイドです。正しく知って、正しく備えて、普通に楽しむ——そのための一本としてお役立てください。

9
割は軽犯罪
日本人旅行者の被害は、ほとんどがスリ・置き引きなどの軽犯罪です
3
つの基本
前に抱える・分散する・無防備に置かない。多くの被害はこれで防げます
112
緊急番号
警察(カラビニエリ)。覚えておくと、いざという時に落ち着いて動けます
iこの記事でわかること
  • イタリアの治安を世界平和指数や被害統計などの公的データで客観的に把握できる
  • ローマ・ミラノ・ナポリなど都市別に警戒したいエリアと、逆に治安の良い街がわかる
  • スリ・置き引き・偽警官・声かけなど、実際の手口とその見分け方がわかる
  • 「貴重品袋は本当に必要か」に正面から答え、過不足ない防犯対策が選べる
  • 被害に遭ったときの緊急連絡先(112/113)や大使館の動き方まで備えられる
目次
  1. イタリアの治安は「特別に危険な国」ではない
  2. データで見るイタリアの治安(世界平和指数と被害統計)
  3. 地域差はある? 北・中・南と「町の規模」で考える
  4. 都市別に警戒したいエリア(ローマ・ミラノ・ナポリほか)
  5. 治安が比較的良いとされる都市・エリア
  6. 観光客が狙われやすい犯罪の手口
  7. 防犯対策 — 「貴重品袋は本当に必要か」に答えます
  8. 公共交通機関(地下鉄・バス・電車)の治安
  9. 夜の治安と、女性の一人歩き
  10. 女性・一人旅・ハネムーン・子連れの注意点
  11. 知っておきたいマナー・習慣(コペルト・チップ・服装)
  12. 被害に遭ったときの対応と緊急連絡先
  13. よくある質問(FAQ)
  14. まとめ — 正しく恐れて、普通に楽しむために

イタリアの治安は「特別に危険な国」ではない

まず全体像からお伝えします。イタリアは、ヨーロッパの中で特別に治安が悪い国というわけではありません。2026年6月時点で、外務省はイタリア全土に対して退避や渡航中止を求めるような高いレベルの危険情報は出しておらず、観光は通常どおり可能です。実際、毎年多くの日本人が周遊やハネムーンでイタリアを訪れ、その大半はトラブルなく旅を楽しんで帰ってきています。

一方で、日本と同じ感覚で過ごすと足をすくわれるのも事実です。日本は世界的に見ても治安が良い国であり、「カバンを置いたまま席を立つ」「スマホをテーブルに出しっぱなしにする」といった行動が当たり前に許されます。イタリアでは、こうした油断がスリや置き引きの対象になります。つまりイタリアの治安問題は、暴力的な凶悪犯罪というより、観光客を狙った軽犯罪(窃盗)が中心だと理解しておくのが正確です。

イタリアの観光地を昼間に歩く旅行者。カバンを体の前に抱えている
油断さえしなければ、過度に恐れる必要はありません

過度に怖がる必要はないが、油断もしない

インターネット上では、イタリアの治安について刺激的な体験談を目にすることがあります。もちろん実際に起きた出来事もありますが、それらは「最悪のケース」であって、平均的な旅行者が必ず遭遇するものではありません。過度に怖がって旅そのものを楽しめなくなるのは、もったいないことです。

大切なのは、「どこで」「どんな手口で」被害が起きやすいのかを具体的に知り、それに対する備えをしておくこと。本記事ではこのあと、公的データ、都市別の警戒エリア、犯罪の手口、そして実践的な対策を順に解説していきます。読み終えるころには、「漠然とした不安」が「具体的な備え」に変わっているはずです。

データで見るイタリアの治安(世界平和指数と被害統計)

主観的な印象ではなく、まず客観的なデータでイタリアの治安を見てみましょう。国の安全度を測る代表的な指標に、世界平和指数(Global Peace Index, GPI)があります。これはオーストラリアの経済平和研究所(IEP)が、犯罪率・社会の安定・対外的な紛争などをもとに各国を毎年ランキングするものです。

各国の治安・平和度を比較するデータとランキングのイメージ
主観ではなく公的データで治安を捉える

世界平和指数では、日本は例年上位(治安の良い国)に位置し、イタリアは中位に入ることが多い国です。順位そのものは毎年変動するため、最新の数字は必ず外務省の海外安全ホームページや経済平和研究所の公表値で確認してください。ここで押さえておきたいのは、イタリアは「危険な国」のグループではなく、西ヨーロッパの多くの国と同程度の中位グループに位置づけられる、という大枠です。

日本人旅行者の被害は「軽犯罪」が大半

もう一つ参考になるのが、在イタリア日本国大使館が公表している被害情報です。在ローマの日本大使館は、現地で寄せられた日本人の被害報告を定期的にまとめており、その内訳を見ると、スリ・置き引きといった窃盗が大半を占めます。命に関わるような凶悪犯罪は、報告全体の中ではごく少数です。

💡 データから読み取れる「備えの優先順位」
被害の中心が窃盗(スリ・置き引き)だということは、裏を返せば「貴重品をいかに守るか」に対策を集中すればよいということです。複雑な防犯知識は要りません。このあと紹介する数個の基本ルールを守るだけで、被害に遭う確率は大きく下がります。具体的な被害件数や最新の危険情報は、外務省海外安全ホームページと在イタリア日本大使館のサイトで確認するのが確実です。

地域差はある? 北・中・南と「町の規模」で考える

「イタリアは南に行くほど治安が悪い」という話を耳にしたことがあるかもしれません。統計上、殺人など重い犯罪の発生率は南部のほうが高い傾向があるのは事実です(外務省の情報でも、殺人事件の半数以上は南部の州で起きているとされています)。一方で、旅行者が日常的に警戒すべきスリや置き引きは、南北を問わず大都市・観光地・主要駅に集中します。南部にも穏やかで美しい街は数多くあり、逆に北部の大都市でも観光客を狙ったスリは発生します。つまり「南だから危険」と一括りにするより、場所の性質(人が集まるかどうか)で考えるほうが旅行者には実用的です。

「地域」よりも「町の規模」で見る

現地に長く住む人の声で参考になるのが、「旅行者が遭いやすいスリ・置き引きを左右するのは、地域というより町の規模だ」という見方です。観光客や人が多く集まる大都市・主要観光地ほど、それを狙う軽犯罪も増えます。一方で、人口の少ない地方の町や村は、南北を問わず落ち着いていることが多いのです。

つまり、警戒すべきは「南イタリア全体」ではなく、人が密集するターミナル駅・有名観光地・繁華街といった具体的な場所です。北のミラノでも、中部のローマやフィレンツェでも、南のナポリでも、注意すべきポイントの本質は変わりません。次の章では、その具体的なエリアを都市別に見ていきます。

南部の穏やかな村と北部都市が対照的なイタリアの街並み
「南だから危険」と一括りにはできない
人が多い場所
警戒度を上げたい場所
  • 主要駅・ターミナル駅とその周辺
  • 有名観光地・人気スポット周辺
  • 混雑する地下鉄・バスの車内
  • 夜の繁華街・人通りの少ない裏路地
落ち着いた場所
比較的のんびりできる場所
  • 人口の少ない地方の町・村
  • 住宅街や郊外の静かなエリア
  • 昼間の主要観光ルート上
  • ホテルや美術館など管理された施設内

都市別に警戒したいエリア(ローマ・ミラノ・ナポリほか)

ここでは、観光客が訪れることの多い主要都市について、特に注意したいエリアを具体的に挙げます。いずれも「その街全体が危険」という意味ではなく、人が集中する駅周辺などでスリや置き引きが起きやすい、というポイントの整理です。昼間に普通に観光する分には、過度に身構える必要はありません。

主要ターミナル駅の構内で観光客が行き交う昼の日常的な様子
主要駅は便利な反面、人が集中する

ローマ — テルミニ駅周辺は人混みに注意

!
ローマ・テルミニ駅とその周辺
鉄道の玄関口・人が常に集中する
スリ注意 混雑時警戒

ローマの鉄道の玄関口であるテルミニ駅は、常に多くの人で混み合い、スリや置き引きが起きやすい場所として知られます。構内や周辺では、切符の購入を手伝うふりをして料金を要求したり、混雑に紛れてバッグを狙ったりする手口が報告されています。駅周辺のエスクィリーノ地区など一部のエリアは、夜遅い時間帯は人通りが減るため、明るい時間帯の移動が安心です。

対策:切符は自動券売機か公式アプリで自分で買う/声をかけてくる人には毅然と距離を取る/荷物からは手を離さない。コロッセオやトレビの泉など人気観光地周辺も同様に、人混みでは貴重品に気を配りましょう。

ミラノ — 中央駅・地下鉄の混雑時に注意

!
ミラノ中央駅・ドゥオーモ周辺・地下鉄
ターミナルと観光中心が重なる
スリ注意 混雑時警戒

ファッションの都ミラノは、ヨーロッパの大都市としては比較的落ち着いていますが、ミラノ中央駅やドゥオーモ広場、混雑する地下鉄の車内では、スリや置き引きに注意が必要です。ドゥオーモ広場では、ミサンガを腕に巻きつけて代金を要求する、署名を求めて気を逸らすといった声かけも見られます。立ち止まらず、毅然と立ち去るのが基本です。

対策:リュックは前に背負う/地下鉄では乗降時に貴重品を意識する/広場で声をかけられても応じない。観光そのものは安心して楽しめる街です。

ナポリ — 「都市伝説」と実際のバランス

!
ナポリ中央駅・旧市街の一部エリア
活気ある街・エリアで雰囲気が変わる
スリ注意 エリア選び

ナポリは「治安が悪い」というイメージが先行しがちな街ですが、実際にはピッツァや遺跡、青の洞窟への玄関口として多くの観光客が訪れ、活気にあふれた魅力的な街です。注意したいのは中央駅周辺や旧市街の一部で、人通りの少ない時間帯・場所では警戒度を上げましょう。とはいえ、過度に怖がる必要はなく、主要な観光ルートを明るい時間帯に歩く分には、他の大都市と大きく変わりません。

対策:夜間の一人歩きは人通りの多い通りを選ぶ/高価なアクセサリーや高級腕時計は目立たせない/荷物は体の前で管理する。

フィレンツェ・ベネチアなど

フィレンツェでは、鉄道のサンタ・マリア・ノヴェッラ駅周辺、ベネチアでは玄関口のサンタ・ルチア駅周辺やリアルト橋など、やはり人が集中する場所でスリへの注意が必要です。共通しているのは、いずれも「駅と有名観光地という、人とお金が集まる場所」だという点。逆に言えば、警戒すべき場所のパターンはどの街でも同じです。具体的なエリア名や最新の状況は、訪問前に外務省の海外安全ホームページで確認しておくと安心です。

治安が比較的良いとされる都市・エリア

警戒したいエリアばかりでは不安になってしまうので、比較的落ち着いて過ごせるとされる都市も紹介します。これらは、観光地でありながらも大都市のターミナル特有の混雑が少なく、ゆったりと旅を楽しみやすいエリアです。

トスカーナの丘の上の街シエナの石畳と落ち着いた街並み
トスカーナの古都は穏やかに過ごしやすい
1
シエナ(トスカーナ)
中世の街並みが残るトスカーナの古都。カンポ広場を中心にコンパクトで、落ち着いて歩ける街として知られます
2
トレント・ボルツァーノ(北部)
オーストリアに近い北部アルプス地方の街。整然とした雰囲気で、暮らしやすい街として評価されます
3
プーリア地方(南部)
かかと部分にあたるプーリアは、白い街並みのアルベロベッロなどで人気。南部でも穏やかなエリアの一例です

このほか、トスカーナのサン・ジミニャーノ、ウンブリアのオルヴィエートアッシジといった丘の上の小さな街も、観光客が穏やかに過ごしやすいエリアとして挙げられます。「治安が心配だから大都市を避けたい」という方は、こうした地方の街を旅程の中心に据えるのも一つの考え方です。

観光客が狙われやすい犯罪の手口

対策を立てるには、まず「どんな手口があるのか」を知ることが一番の近道です。手口を知っていれば、その場面に出くわしたときに「あ、これか」と気づき、冷静に対応できます。ここでは観光客が遭遇しやすい代表的なパターンを整理します。いずれも特殊な技術ではなく、油断と人混みを利用したものがほとんどです。

混雑する場所でバッグを前に抱えて注意している旅行者の手元
多くの手口は「人混み」と「油断」を突いてくる

スリ・置き引き・ひったくり

もっとも多いのがスリです。混雑した地下鉄やバスの乗降時、人気観光地の人だかりの中で、気づかないうちに財布やスマホを抜き取られます。複数人で取り囲み、一人が気を引いている間に別の人が抜き取る、という連携も見られます。次に多いのが置き引き。カフェやレストランで椅子にかけたバッグ、足元に置いた荷物が、目を離した一瞬に持ち去られます。ひったくりは、バイクや自転車で背後から近づき、肩にかけたバッグを引ったくる手口で、車道側にバッグを持たないことが基本の防御になります。

ぼったくり

観光地のレストランやバールで、注文していない料理が運ばれてきたり、明らかに割高な料金を請求されたりするぼったくりもあります。会計時に「水一本が驚くほど高い」「頼んでいないお通しが加算されている」といったケースです。対策は、メニューに価格が明記された店を選ぶ/注文時に値段を確認する/会計の明細をその場で確認すること。なお、イタリアのレストランには「コペルト(席料)」という正規の料金が存在しますが、これはぼったくりとは別物です(詳しくは後述します)。

観光地で見知らぬ人物が観光客に声をかけている様子
声かけは「立ち止まらない」が最大の防御

偽警官・スキミング

偽警官の手口にも注意が必要です。私服の人物が「警察だ。麻薬取締りで財布の中を確認する」などと声をかけ、パスポートや財布を見せるよう求めてきます。本物の私服警官が路上で観光客の財布の中身を確認することは通常ありません。その場で財布を渡さず、最寄りの警察署で確認したいと伝えるのが対処法です。また、ATMやカード決済時に情報を盗み取るスキミングにも注意し、人目のある場所のATMを使う、暗証番号を手で隠す、といった基本を守りましょう。

声かけ・物売り・署名詐欺

有名観光地では、声かけから始まる手口も定番です。「ミサンガをプレゼント」と言って腕に巻きつけ代金を要求する、「署名活動に協力を」とバインダーを差し出して気を逸らす、「写真を撮ってあげる」とスマホを預からせる——いずれも、こちらの注意をそらして金品を狙うものです。知らない人から差し出されたものは受け取らない/立ち止まらない。これだけで多くを避けられます。

手口は「型」で覚えると怖くない
私たちが旅程を組む際も、お客様には「立ち止まらない・受け取らない・渡さない」の3つをお伝えしています

手配や同行の現場で実感するのは、被害の多くが「ほんの数秒の油断」から起きるということです。逆に言えば、手口の「型」さえ知っていれば、その瞬間に身体が反応してくれます。私たちがお客様にお伝えしているのは、難しい知識ではなく「知らない人に声をかけられても立ち止まらない/差し出されたものは受け取らない/財布やパスポートを人に渡さない」という3つの所作だけ。これを徹底するだけで、声かけ系の被害はほぼ防げます。怖がるのではなく、所作として身につけておくのがコツです。

防犯対策 — 「貴重品袋は本当に必要か」に答えます

手口がわかったら、次は対策です。ここでは多くの方が悩む「貴重品袋(首から下げる隠しポーチなど)は本当に必要なのか」という疑問に、正面からお答えします。

衣服の下に着けるセキュリティポーチや前抱えのバッグなど防犯グッズ
道具より「分散」と「所作」が効きます

結論:全員に「首下げ袋」が必須なわけではない

結論から言うと、すべての人に首から下げる貴重品袋が必須というわけではありません。大切なのは「貴重品袋を着けること」自体ではなく、「貴重品を一箇所にまとめず、無防備に出さない」という原則です。これさえ守れれば、形は問いません。状況別に整理すると、次のようになります。

1
パスポート・予備の現金・カードは「衣服の下」に
普段使わない貴重品は、衣服の下に着ける薄型のセキュリティポーチや、首下げ・ウエスト型に入れてホテルの外でも肌身離さず。これが「貴重品袋が有効な場面」
2
その日に使う分の現金・カードは「取り出しやすい場所」に
買い物のたびに服の下から出すのは無防備になり逆効果。当日分(20〜30ユーロ程度+カード1枚)は前抱えのバッグや内ポケットに分けておく
3
大半の貴重品は「ホテルの金庫」に預ける
そもそも持ち歩かないのが一番安全。パスポートのコピーを持ち、原本はホテルのセーフティボックスへ。持ち歩く貴重品を減らせば、貴重品袋への依存も減る

つまり、「ずっと服の下の袋から財布を出し入れする」のは、かえって場所を教えてしまい逆効果になりがちです。正解は「使わない貴重品は衣服の下や金庫に=守り」「使う分は取り出しやすく=日常使い」と役割で分散すること。セキュリティポーチは「予備の現金とパスポートの待機場所」として使うのが、もっとも理にかなっています。

そのほかの基本対策

A
バッグは前に抱える
リュックは前に、ショルダーはファスナーを体側に。口は手で押さえるのが人混みでの基本です
B
現金は分散して少なめに
全財産を一つの財布に入れない。当日分とそれ以外を分け、持ち歩く現金は最小限にします
C
スマホを無防備に置かない
テーブルやポケットからの抜き取りに注意。ストラップや前抱えバッグで管理を

夜間や駅周辺など警戒したい場所では、流しのタクシーよりも配車アプリ(公式タクシーアプリや国際的に使えるライドシェア系アプリ)を使うと、料金が明確で行き先も記録されるため安心です。深夜便で到着した際の移動などは、こうしたアプリを事前に登録しておくと、現地で慌てずに済みます。

「うちの旅程は治安面で大丈夫?」と気になる方へ
滞在する街・移動ルート・到着時間まで踏まえて、安心して回れる旅程かどうかを一緒に確認します。イタリア周遊の経験を重ねたスタッフが個別にご相談に乗ります。

公共交通機関(地下鉄・バス・電車)の治安

イタリア旅行で被害が起きやすい場所の代表が、公共交通機関です。特に混雑する地下鉄やバスの車内、そして乗降の瞬間は、スリにとって絶好の機会になります。便利な交通機関ですが、ポイントを押さえて利用しましょう。

イタリアの地下鉄ホームと日常的に利用する乗客の様子
便利な地下鉄・バスも、混雑時は貴重品に注意

地下鉄・バスでの注意点

地下鉄やバスでは、乗降時の人の流れに紛れてスリが行われることが多くあります。ドア付近で押し合いになる瞬間、わざとぶつかってくる瞬間が要注意です。対策はシンプルで、貴重品は体の前で管理する/満員のときは無理に乗らず次を待つ/ドア付近より車内の奥に立つこと。リュックは必ず前に抱え、スマホはポケットに入れっぱなしにしないようにします。

電車(鉄道)での注意点

都市間を結ぶ鉄道では、網棚や足元に置いた荷物から目を離さないことが大切です。停車駅でドアが開く瞬間に荷物を持ち去られるケースがあるため、大きなスーツケースは席の近くに置く、貴重品は身につけておく、といった備えをしましょう。寝てしまう場合は、荷物に手や足を触れさせておくと安心です。座席指定の特急であっても、油断は禁物です。

💡 切符の刻印(バリデーション)を忘れずに
治安とは少し異なりますが、トラブル防止のために。一部の鉄道やバスでは、乗車前に切符を改札機や車内の刻印機に通して有効化(バリデーション)する必要があります。これを忘れると、検札時に「無効乗車」として罰金を求められることがあります。乗車前に刻印が必要かどうかを確認しておきましょう。ICチケットやアプリ乗車券の場合は不要なこともあります。

夜の治安と、女性の一人歩き

「夜は出歩いても大丈夫?」という質問もよくいただきます。結論としては、人通りの多い観光エリアの大通りなら、夕食後の時間帯に歩くことは一般的です。レストランやジェラート店を楽しむ夜のお出かけは、イタリア旅行の醍醐味でもあります。

夜に人々が行き交うイタリアの賑わう大通りとレストランの灯り
人通りのある大通りなら、夜の散策も楽しめます

時間帯と場所の目安

注意したいのは、人通りが少なくなる時間帯・場所です。目安として、夜遅く(おおむね22時以降)になり人影がまばらになってきたら、駅周辺や人気のない裏路地は避け、明るく賑わっている通りを選ぶのが基本です。特に主要駅の周辺は、昼間と夜とで雰囲気が大きく変わるエリアがあるため、夜の移動は配車アプリやタクシーを使うと安心です。

女性の一人歩きについて

女性が一人で歩く場合は、より慎重に。夜間に女性が一人で人通りの少ない場所を歩くのは、どの国でも避けたほうが良い行動です。イタリアでも、夜の移動は複数人で/一人なら配車アプリやタクシーを使うのが安全策です。昼間の観光であれば、女性の一人旅でも過度に心配する必要はありませんが、声をかけてくる人には毅然と対応し、しつこい場合は人の多い店舗などに入って距離を取りましょう。

女性・一人旅・ハネムーン・子連れの注意点

旅のスタイルによって、気をつけたいポイントは少しずつ変わります。属性別に、押さえておきたい点を整理します。

イタリアの観光地を笑顔で楽しむカップルや家族連れの旅行者
対策を知れば、どんな旅のスタイルでも楽しめます
1
女性・一人旅
夜の単独行動を避け、宿は立地の良い安全なエリアを選ぶ。声かけには毅然と対応し、困ったら店舗に避難を
2
ハネムーン
高級腕時計や宝飾品は目立たせないのが基本。写真撮影に夢中になりすぎず、足元の荷物にも気を配って
3
子連れ・家族旅行
子どもから目を離さず、人混みでは手をつなぐ。荷物が増えがちなので、貴重品は一人が集中管理すると安心
ハネムーンこそ「狙われにくい所作」を
記念の品やお揃いのアクセサリーは、人混みでは控えめに身につけるのがおすすめです

ハネムーンの旅程を多く手がけてきた立場からお伝えすると、特別な旅だからこそ、新調した高級バッグや腕時計、お揃いのジュエリーを身につけたくなるものです。それ自体は素敵なことですが、人混みや駅周辺では少し控えめにしておくと、余計な注意を引かずに済みます。写真を撮る瞬間はどうしても無防備になりやすいので、撮影は人通りの落ち着いた場所で、足元の荷物に一人が目を配る——そんな小さな役割分担で、思い出づくりに集中できます。私たちが旅程を組む際も、こうした「狙われにくい過ごし方」をあわせてご案内しています。

知っておきたいマナー・習慣(コペルト・チップ・服装)

治安とは少し角度が違いますが、知らないとトラブルや勘違いの元になるマナー・習慣もあわせて押さえておきましょう。「ぼったくられた」と感じる出来事の一部は、実はイタリアの正規の習慣を知らないことから生じています。

価格やコペルトが明記されたイタリアのレストランのメニューと会計
価格が明記された店を選ぶのが基本

コペルト(席料)とチップ

イタリアのレストランには、コペルト(coperto=席料・テーブルチャージ)という料金が一般的にあります。これはパンや席の利用に対する正規の料金で、メニューや会計に「コペルト ◯ユーロ」と記載されます。これを知らないと「頼んでいない料金を取られた」と感じてしまいますが、ぼったくりではなく正規の習慣です。一方、チップについては、アメリカのように必須ではありません。サービス料が含まれていることも多く、特別に良いサービスを受けたときに端数を置く程度で十分です。

教会・美術館での服装

イタリアには多くの教会や大聖堂があり、観光名所になっています。これらは宗教施設でもあるため、肩を出したノースリーブや短すぎる丈の服装では入場を断られることがあります。夏でも、肩や膝を覆える羽織りものやストールを一枚持っておくと安心です。トラブルというほどではありませんが、せっかく訪れたのに入れなかった、ということを避けるための備えです。

💡 「ぼったくり」と「正規の料金」を見分ける
会計で想定より高いと感じたら、まず明細を確認しましょう。コペルト(席料)やサービス料は正規の料金です。一方、メニューに価格の記載がない、頼んでいない品が加算されている、観光客にだけ別料金、といった場合は不当請求の可能性があります。価格が明記された店を選ぶだけで、多くの誤解とトラブルは避けられます。

被害に遭ったときの対応と緊急連絡先

万全の対策をしても、被害に遭ってしまうことはあります。大切なのは、その後に落ち着いて動けることです。被害時の連絡先と手順を、あらかじめ控えておきましょう。スマホに保存し、紙にも書いて貴重品とは別の場所に入れておくと安心です。

イタリアの警察カラビニエリの車両と警察署のサイン
緊急時の連絡先は、出発前に控えておく

緊急連絡先(覚えておきたい番号)

連絡先番号役割
カラビニエリ(軍警察)112EU共通の緊急番号。事件・事故の通報に。英語対応も可能なことが多い
ポリツィア(国家警察)113警察への緊急通報。盗難の被害届はこちらでも
救急118けがや急病など、医療の緊急時に
在イタリア日本国大使館(在ローマ)※公式サイトで確認パスポート紛失・盗難、重大なトラブルの相談窓口

※各番号や大使館の連絡先は変更される場合があります。出発前に外務省海外安全ホームページと在イタリア日本大使館の公式サイトで最新情報を確認してください。在ミラノには総領事館もあり、北イタリアでのトラブルはそちらが窓口になります。

盗難・紛失に遭ったときの手順

1
まず身の安全を確保する
無理に犯人を追わない。けがをしている場合は救急(118)へ。安全な場所に移動する
2
警察に届け出て「被害届(デヌンチャ)」をもらう
112/113または最寄りの警察署へ。海外旅行保険の請求やパスポート再発行に、被害届の控えが必要になる
3
カード会社に連絡して利用を止める
クレジットカードの盗難は、各社の緊急連絡先に電話して即停止。番号は事前に控えておく
4
パスポート紛失なら大使館・総領事館へ
在ローマ大使館または在ミラノ総領事館で、帰国のための渡航書やパスポートの手続きを行う
「被害届の控え」と「カードの緊急番号」は旅の必需品
出発前に、カード会社の海外用緊急連絡先をメモしておくだけで、被害後の動きが段違いに速くなります

お客様の旅をサポートしてきた経験から、被害後にもっとも差が出るのは「事前の準備」です。具体的には、①海外旅行保険の連絡先と証券番号、②クレジットカード各社の海外緊急連絡先、③パスポートのコピー、④大使館の連絡先——この4点を貴重品とは別の場所(スマホのメモとは別に、紙でも)に控えておくこと。万一すべての貴重品を失っても、この控えがあれば次の一手が打てます。海外旅行保険には盗難・携行品損害の補償が付くものが多いので、加入時に補償内容を確認しておきましょう。私たちが手配する際も、緊急時の連絡先一覧をしおりにまとめてお渡ししています。

出発前に「緊急時の備え」を一緒に整えませんか
連絡先一覧や緊急時の動き方をまとめたしおりの作成から、安心して回れる旅程設計まで。イタリアの旅をトータルでサポートします。お気軽にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

イタリアの治安は本当に悪いのですか?
特別に危険な国ではありません。命に関わる凶悪犯罪は多くなく、日本人旅行者の被害の大半はスリ・置き引きといった軽犯罪(窃盗)です。世界平和指数でもイタリアは中位グループに位置します。対策を知っていれば、初めての方でも過度に怖がる必要はありません。最新の危険情報は外務省の海外安全ホームページで確認してください。
貴重品袋(首から下げるポーチ)は必要ですか?
全員に必須というわけではありません。大切なのは「貴重品を一箇所にまとめず、無防備に出さない」という原則です。パスポートや予備の現金など普段使わない貴重品は衣服の下のセキュリティポーチに、その日使う分は取り出しやすい場所に、と役割で分散するのがコツ。買い物のたびに服の下から財布を出すのは逆効果になりがちなので、当日分は別に分けておきましょう。
スマホはイタリアで普通に使えますか?盗まれませんか?
SIMやeSIM、海外ローミングで問題なく使えます。注意したいのは、人混みやレストランのテーブルにスマホを無防備に置くことです。歩きスマホや、撮影に夢中になっている隙を狙われることがあります。ストラップを付ける、前抱えのバッグで管理する、使わないときはしまう、といった基本でリスクは大きく下がります。
現金はいくら持ち歩けばいいですか?
その日に使う分として20〜30ユーロ程度+カード1枚を取り出しやすい場所に、残りは衣服の下やホテルの金庫に分けるのが安心です。イタリアではカード決済が広く使えるため、大金を持ち歩く必要はありません。万一の盗難に備え、現金とカードは複数箇所に分散させておきましょう。
深夜便で到着したときの移動は安全ですか?
深夜の到着時は、公共交通が動いていない・駅周辺の人通りが少ないといった理由から、配車アプリや正規のタクシーでホテルまで移動するのが安心です。アプリは事前に登録し、空港の正規タクシー乗り場を使いましょう。ホテルに到着時間を伝えておくと、よりスムーズです。
テロやマフィアの危険はありますか?
観光旅行で巻き込まれる可能性は高くありません。マフィアの活動は一般の旅行者を対象にしたものではなく、観光中に脅威を感じる場面はまずありません。テロについても、特別に警戒レベルが高い状況ではありませんが、人が集まる場所では一般的な注意を。最新の状況は外務省の海外安全ホームページで確認するのが確実です。旅行者が実際に備えるべきは、やはりスリ・置き引きなどの軽犯罪対策です。
レストランで「コペルト」を取られました。ぼったくりですか?
コペルト(席料・テーブルチャージ)はイタリアの正規の習慣で、ぼったくりではありません。メニューや会計に金額が明記されます。一方、価格表示のない品の加算や、観光客への不当な高額請求は注意が必要です。価格が明記された店を選び、注文時に値段を確認すれば、多くの誤解やトラブルを避けられます。

まとめ — 正しく恐れて、普通に楽しむために

夕暮れに包まれるイタリアの美しい街並みの俯瞰
備えさえあれば、イタリアの旅は心から楽しめます
📋 イタリア治安・対策チェックリスト
  • 全体像 — 特別に危険な国ではない。被害の大半はスリ・置き引きなどの軽犯罪
  • 警戒する場所 — テルミニ駅・中央駅・人気観光地・混雑する地下鉄など「人が集まる場所」
  • 手口 — スリ・置き引き・ひったくり・ぼったくり・偽警官・声かけの「型」を知っておく
  • 貴重品 — 一箇所にまとめない。衣服の下+当日分+ホテル金庫に役割分散
  • 所作 — 立ち止まらない/受け取らない/渡さない。バッグは前に抱える
  • 夜・交通 — 夜の駅周辺や裏路地は避け、配車アプリを活用する
  • 連絡先 — 112・113、大使館、カード緊急番号を事前に控える。被害届の控えを取る
  • 確認 — 最新の危険情報は外務省海外安全ホームページと在イタリア日本大使館で

イタリアの治安は、「正しく知って、正しく備えれば、普通に楽しめる」レベルです。漠然と怖がるのでも、根拠なく油断するのでもなく、被害が起きやすい場所と手口を具体的に知り、貴重品の管理と数個の所作を身につける——それだけで、被害に遭う確率は大きく下がります。美しい街並み、芸術、食。イタリアには、少しの備えと引き換えに味わう価値のある体験がたくさんあります。安心して、あなたのイタリアの旅を計画してください。

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写真: Adobe Stock / 一部 Wikimedia Commons